2015年11月9日月曜日

71.ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])- (意味1:) 知る手段

ज्ञानम् 
[jñānam]

<意味1> 知る手段 (करणे व्युत्पत्तिः)


サンスクリットの言葉は派生の仕方で意味が変わる


「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」には、下に述べる文法的な理由から、

様々な意味を持たせることが出来ます。

今回は、バガヴァッド・ギーター13章11の中で、

「एतज्ज्ञानमिति प्रोक्तम् [etajjñānamiti proktam] ...」と言われている、

「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」について取り上げます。


バガヴァッド・ギーター13章7~11のシュローカで教えられている、
ウパニシャッドの理解に先立つ「心の成熟」について、
じっくり解き明かした一連のレクチャーです。

毎週木曜日に開催しているThe Value of Values のクラスのトピックでであり、

重要なポイントなので、今回の言葉にしました。


ニャーナの語源


「知る」という意味の動詞の原型「ニャー(ज्ञा [jñā])」に、

接尾語「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」を付加します。

「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」は「アナ(अन [ana])」に形を変えます。

これは突然変異のようなもので、理屈はありません。

「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」は「アナ(अन [ana])」なる。

そして、「ニャー(ज्ञा [jñā])」+「アナ(अन [ana])」で、

「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」になる訳です。


サンスクリット語の中で最もよく見かけられる接尾語、「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」


接尾語「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」は、動詞を名詞に変化させる接尾語です。

サンスクリット語の単語の中で最頻出と言ってよいくらい、

「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」つまり「アナ(अन [ana])」で終わる言葉は沢山あります。

ヨガのポーズとして知られる「アーサナ(आसनम् [āsanam])」、

座布団や座る場所も、アーサナと言いますね。

瞑想は「ディヤーナ(ध्यानम् [dhānam])」、

達成手段は「サーダナ(साधनम् [sādhanam])」、

見ることは「ダルシャナ(दर्शनम् [darśanam])」、

結びつけるものは「バンダナ(बन्धनम् [bandhanam])」ですね。

結ぶバンダナと、ムリッティユンジャヤ・マントラに出てくるバンダナは、

同じ言葉ですね。

どれも全部、「アナ」 で終わっていますね。


さまざまな意味を持つ、接尾語「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」


接尾語「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」の意味には、何でもありと言っていいくらい、

沢山あります。

主に使われるのが、「バーヴェー(भावे [bhāve])」と呼ばれる、

動詞そのものを示す意味で、「~すること」という意味の名詞を造ります。

例えば、「ニャー(ज्ञा [jñā])」の後ろに、

「バーヴェー(भावे [bhāve])」の意味において「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」を足して出来た言葉、

「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」 は、「知ること」という意味の単語になります。


また、「カルマニ(कर्मणि [karmaṇi])」と呼ばれる、

動詞の対象物や目的語を示す意味でも「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」は使われます。

この場合の 「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」は、「知る対象、知識」という意味になります。

同じ形でも、違う意味になるのです。


そして、「カラネー(करणे [karaṇe])」 と呼ばれる、

動詞の手段、方法を示す意味で「リュット(ल्युट् [lyuṭ])」を使えば、

同じ 「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」でも、「知る手段、知る為に必要な道具」となります。


バガヴァッド・ギーター13章11で言われている 「ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam])」は、

この「カラネー(करणे [karaṇe])」という意味で取られます。

ウパニシャッドの知識を得るために必要な、心のあり方です。

それはつまり、人間として成長をした心のあり方です。

結局人生のゴールというのは何なのか、を明らかにし、

その達成に必要な、成長した心のあり方とは何か、を明らかにすることによって、

成長した心のあり方という価値(value)に、価値(value)を見出す必要があります。

それらは、仕事や子育てといった、その人それぞれに与えられた

家庭や社会の責任と義務を果たすことによって、意識して培かっていくものなのです。


次回は、「知る主体」「知る対象物」「知る手段」といった、

ヴェーダーンタのディスカッションに必要不可欠な、

トリプティー(त्रिपुटी [tripuṭī]) という概念について、文法的な説明しますね。


発音については、こちらもご参照ください。
ジュニャーナ?ギャーナ?ニャーナ?ज्ञान [jñāna] の発音はどうするべきか?  
73.ニャーナ(ज्ञानम् [jñānam]) - ちなみに発音について 




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